ドレスへの刺繡
イギリスが誇る007シリーズの映画、スカイフォールに出演していた英国の女優Naomie Harrisさんがアカデミー賞授与式で着るドレスに刺繍をするプロジェクトに、王立刺繍学校(RSN)のチームの一員として参加したのです。
ロイヤルウェディングドレスのときもそうでしたが、プロジェクトによってはイベントが公になるまで、あるいは学校から正式の発表があるまで、秘密を守らなければならない契約書にサインをすることがあります。今回も、そういった契約書にサインをしてお仕事が始まりました。
環境にやさしいドレスを、という趣旨のRed Carpet Green Dressというコンテストで優勝したデザイナーのMichael Badgerさんは、アメリカのアトランタでファッションデザインを勉強中。イギリスのファッションデザイナー、Vivienne Westwoodさんの監修のもとにドレス制作が行われることに。
RSNのスタジオマネージャーからお声をかけていただいて、まずわたしがやったことは、Michaelがイメージする火山の溶岩のようなモチーフを英国の伝統刺繍ゴールドワークでドレス上に表現するための、サンプルを作ること。こちらがそのサンプルです。とっても小さいこの画像はRSNのウェブサイトのニュースのページからお借りしました。
ゴールドワークの技法のうちOr Nueと呼ばれるテクニックでメタル素材に色の濃淡を表現します。ステッチはカウチングです。ヴィンテージのビーズも何種類もの色を混ぜながら使ってシェーディングしました。
実際にドレス生地がスタジオに届いて、刺繍がはじまるとそれはそれはめまぐるしい忙しさでした。
今回のドレスは、なにがエコだったのでしょうか?
ファブリックはオーガニックのもの、そして報道ではマスタード色といわれていましたが染色は実はカモミール(そう、あのハーブティーのカモミールです)で行われました。化学的な染料を使っていないので、染めたあとのカモミールはそのままコンポストへ。そして機械刺繍ではなく私たちが手で刺繍したこともエコだといわれています。ヴィンテージのメタル素材やビーズなどに加えて、実はチョコレートの包み紙も素材にして刺繍しました。これが、リサイクルされている材料といわれている部分でしょうか。
とにかく、アカデミー賞授与式のレッドカーペットを楽しみにしていました。ドレスを身につけたNaomie Harrisさんをみて、あれっと思ったのは大胆なスリットでした。最初の予定ではスリットのないドレスでしたから、ちょっとびっくりしましたが、いろいろな報道をみると、なんとギリギリ直前になってVivienne Westwood自身が決断してスリットをいれることになったそうです。ご本人もびっくりされたでしょうが、見事な美脚で着こなしていらっしゃるのは、さすが若い女優さんですね。
以下の画像はRed Carpet Green Dressのフェイスブックのページからお借りしました。お楽しみください。
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by kewstitchclub | 2013-02-26 12:05 | 英国王立刺繍学校